シニア起業ジャーナル
シニア起業は本当に増えている? 数字で見る60歳以上の開業トレンド
データで見るシニア起業2026-04-06

シニア起業は本当に増えている? 数字で見る60歳以上の開業トレンド

文: シニア起業ジャーナル編集部

「シニアの起業が増えている」──メディアでこう報じられる機会が増えました。しかし、それは本当なのでしょうか。感覚的な話ではなく、公的機関の統計データから「シニア起業の今」を読み解きます。


開業者の平均年齢は過去最高を更新し続けている

まず押さえておきたいのが、日本政策金融公庫が毎年実施している「新規開業実態調査」のデータです。

2024年度調査によると、開業者の平均年齢は43.7歳。1991年の調査開始時は38.9歳でしたから、約30年で5歳近く上昇したことになります。

調査年開業者の平均年齢
1991年38.9歳
2000年40.9歳
2010年41.4歳
2015年42.4歳
2020年43.7歳
2024年43.7歳(過去最高タイ)

注目すべきは、50代以上の開業者が全体の約3割を占めるようになっている点です。60歳以上に限っても約10〜12%と、10年前の約7%から着実に増加しています。

「起業は若い人がするもの」という思い込みは、すでにデータが否定しています。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」


新設法人の代表者、60歳以上は約15%で過去最高水準

帝国データバンクの「全国新設法人動向調査」も、同じ傾向を裏付けています。

新設法人の代表者のうち、60歳以上の比率は約15%。2010年頃の約10%から、10年余りで1.5倍に増えました。

60歳以上の比率
2010年頃約10%
2015年頃約12%
2020年頃約14%
2023年頃約15%(過去最高水準)

つまり、新しく会社を作る人の7人に1人以上が60歳以上ということです。この比率は今後さらに上昇すると見られています。

出典:帝国データバンク「全国新設法人動向調査」


「働くシニア」は当たり前に──就業率は過去最高

シニア起業が増えている背景には、そもそも「働くシニア」が増えているという構造的な変化があります。

総務省の労働力調査によると、シニアの就業率は過去最高水準です。

年齢層就業率(2024年)10年前との比較
60〜64歳約75%+約16pt
65〜69歳約53%+約13pt
70〜74歳約35%+約12pt

60〜64歳の4人に3人が働いているという現実があります。そして、その選択肢が「再雇用で同じ会社に残る」だけでなく、「自分で起業する」という方向にも広がっているのです。

日本のシニア就業率はOECD諸国の中でもトップクラス。アメリカの65歳以上の就業率が約19%、イギリスが約10%であることと比較すると、日本のシニアがいかに活動的かがわかります。

出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)」


健康寿命は延び続けている──60歳で「残り12年以上」

「起業しても体力が持つのか」という不安を持つ方もいるでしょう。しかし、データはポジティブな事実を示しています。

厚生労働省の発表によると、日本人の健康寿命(日常生活に制限のない期間)は以下の通りです。

項目男性女性
健康寿命(2022年)72.57歳75.45歳
平均寿命(2022年)81.05歳87.09歳

60歳で起業したとしても、健康に活動できる期間は男性で約12年、女性で約15年残されています。これは決して短い期間ではありません。新しい事業を立ち上げ、軌道に乗せるには十分な時間です。

出典:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」(2024年12月公表)


ブームではなく「構造変化」──3つの要因

💡
シニア起業の増加は一過性のブームではありません。以下の3つの構造的な要因に支えられた長期トレンドです。

1. 健康寿命の延伸 → 定年後も10年以上、健康に活動できる

2. 経済的な動機 → 年金だけでは不安、「もう一つの収入源」が必要

3. テクノロジーの民主化 → AI・ノーコードツールで少人数・低コストの起業が可能に

データが示しているのは、「シニアが起業するのは特別なことではなくなりつつある」という事実です。

もしあなたが「起業に興味はあるけど、この年齢で大丈夫だろうか」と迷っているなら、まずはこのデータを見てください。あなたと同じように、60歳を超えてから一歩を踏み出している人は、確実に増えています。


データ出典

  • 日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」
  • 帝国データバンク「全国新設法人動向調査」
  • 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」
  • 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」

文:シニア起業ジャーナル編集部

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